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玉三郎の高野聖~シネマ歌舞伎

さて「シネマ歌舞伎」最終作は「高野聖」。

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これは原作を読んだことはなかったんだけど、短編らしい。
冒頭でいつものように玉三郎さん語り。シネマ歌舞伎だからこそやりたい演出があったとのこと。
それは「寄り」。
カメラがキャラクターに寄ることによってその人物の内面を描くことができるというもの。
それってまさにドラマ、映画だよね。
舞台ではないよね。
でもその演出で泉鏡花を描き出してみたかったらしい。

お話は山で迷った若い僧侶が、山の中の一つ家で美しい女性に出会う。女性には痴呆の主人と使える老人がいる。
この女性があやしい魅力をもっていて、なにかの気配を感じはするが、無事朝を迎えて出立する。
最後に老人からその女性の正体を聞く、という、のがあらすじ。

この話の魅力はやはり玉三郎さん演じる女性の妖しい魅力と、その魅力にどぎまぎする若い僧侶の二人の濃密な時間だろう。
汗をかいた僧侶が滝壺で水浴びをするんだけど、そこに女も入って僧侶の若い体にまとわりつく。
いや、中村獅童って分厚い体してんのね。
そこもエロスだったけど、家にいた馬が暴れ出すところで、女が着物の前を開いて馬にみせつけるところは、すごい、匂いたつようなエロスが。
映画画面のはずなのに、ものすごい臨場感、舞台の前にいたみたいにこっちがドキドキしちゃった!!

かつて玉三郎さんと対談して、その後「海神別荘」の衣装や舞台美術をやった天野喜孝さんが、「幻夢宮」という親書館の画集で「高野聖」のイラストを描いたことがあったのね。
天野さんは女の体にさまざまな獣、魑魅魍魎がからみつく耽美にもエロエロな絵を描いた。
玉三郎さんの発するエロスと天野さんの描き出すエロスは違うんだけど、どちらもとろりとした深く、あるいは浅く泡が浮かぶような暗い水面に、鈍い光が当たり、そんな雰囲気の中にすうっと白い肢体が透けている……印象を受けた。

幻夢宮幻夢宮
天野 喜孝

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泉鏡花の世界は暗い世界に灯る光、それは七色に淡く変化するもの、と玉三郎さんは言う。
高野聖のシネマ歌舞伎は見終わったあと、本を読みおえた時と同じ気持ちを味わってもらいたいと語っていた。
だから、本を読んで、この舞台は完成するのかもしれない。

私は未読なので、この気持ちが消える前に早く読まないと。

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シネマ歌舞伎、三本が三本ともおもしろかったし観てよかった。
うれしいことに東劇では再上映されるという。
少しでも興味があるなら観に行くといい。

私たちは幸運なことに「坂東玉三郎」という傑作と同じ時代に生まれているのだから!

海神別荘の記事はこちら
天守物語の記事はこちら


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霜月りつ@文筆業

Author:霜月りつ@文筆業
白城るた・あるいは 真坂たま、白雪真朱と名乗ってBLやTLやファンタジーを書いてます。最近は霜月りつ名義で時代物も。
主に読書と映画と着物と同人の日々。独断に満ち満ちてマスので、ついてこれる人だけれっつごー。
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