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言ってはいけない~本屋の掟

その日わたしは書店にいた。
手にはコミックを1冊持っている。
これはその日買おうと思っていた本で、書店に着くなり手にしたものだ。
目的はその本だったが、わたしは本棚をめぐっていた。
本棚にはさまざまな本がわたしに語りかけている。
その誘惑は快感だ。
どの本が面白いのか、どの本を手にとり、どの本を家に連れ帰るか。
それはわたしと本の対話。
至福の時間……

そのわたしのもとに別な店に買い物に行っていた相方が現れた。
彼女はわたしが本棚の前でうろうろしているのをしばらく眺めていたが、やがて口を開けた。

「まだぁ?」

その瞬間、わたしと本棚の前にいた他の人々がびくりとした。ような気がした。

本好きな人間は言われ続けているのだ、本を買う楽しみを知らない彼らに。

「まだ?」

「早くしろ」

「もう買うもの決まっているのになにしてるの」


言ってはいけない。

私たちはただ本を買いにきているだけではないのだ。
そこには誰にも邪魔されたくない時間があるのだ。
並ぶ本を見つめ思考する楽しみを、書店の中で回遊魚のように浮遊する自由を。

奪ってはいけない、言ってはいけない。

その呪われた言葉を。

「まだぁ?」





新装丁!!(新作あり?!)2冊で2100円。
1冊1050円なので別に安くなっているわけではないがPOP付き。



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プロフィール

霜月りつ@文筆業

Author:霜月りつ@文筆業
白城るた・あるいは 真坂たま、白雪真朱と名乗ってBLやTLやファンタジーを書いてます。最近は霜月りつ名義で時代物も。
主に読書と映画と着物と同人の日々。独断に満ち満ちてマスので、ついてこれる人だけれっつごー。
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