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「南極物語」と「妖怪人間ベム」 秋のドラマ第三弾

秋のドラマ第三弾。

この秋のドラマはどれもけっこう面白く、その中でも対照的な二つの作品が好調だという。
「南極大陸」と「妖怪人間ベム」だ。
かたや巨大予算と豪華俳優、民放の大河ドラマと銘打った骨太な、いわば正攻法のドラマ、かたやマイナーというか有名だけどあまり見てる人がいないみたいなアニメが元で、おそらくそれほど予算をかけていない、隙間産業的なドラマ。
対照的な二つの作品だが、こないだ「ベム」2話を見る機会があったのでこの2作品について書いてみたい。

「南極大陸」は今こそ日本人に夢と力を、という感じで制作側のすごい熱意を感じるんだけど、視聴者側としては同じように拳を握って熱血できるほどにはなれない。
ロケとか美術とかがんばっているし、役者さんたちもベテランから個性派まで、好きな人たちも多いのに、なんでかなーと思うとやっぱり脚本と演出なのかなあ。

たとえば第2話は南極に行くまでの行路が大変でしたーという話だよ。そして3話は設営が大変でしたーという話だよ。

大変なのはわかるし、実際現場はもっともっと大変だったと思う。でも伝わってこない。
なんていうか型にはまった作り方なの。

航海が大変だった、というととにかく嵐になってカメラが大揺れに揺れて通路で人が転がってどこからか水が入ってきて誰かが溺れそうになってそれでキムタクが助けるって感じでしょ。
このやり方しかないのか?
力づくで助けるんじゃなくてアポロ13みたいにみんなに知恵を出し合って助けるとか、「全員」の見せ場はないのか。
そしてせっかくのクリスマスのご馳走がだめになったのはかわいそうだったなあ。ごちそう片づけるシーンとかパーティやり直すシーンとか回収してほしかったかな。

「南極大陸」3話は乱暴者のクマがリーダーのリキにかみついたらリキが怯えちゃってリーダー犬として役に立たなくなって、それで基地の仲間が吹雪の中で立ち往生になって時間がないときに犬ぞり出すぞ、でもまたクマがいうこと聞かなくて、それでキムタクがクマのところに走っていったら突然リーダーとしての意識に目覚めたリキがクマと戦ってリーダーの座を取り戻したって話なんだけど。

見ている側としてはリキがクマに萎縮しているってのはわかるわけ、倉持もわかっていたのかもしれないけど、それは語られないよね、あの二匹をどうにかしなきゃって動きがまったくないよね? ただなにかきっかけを待っていただけっていうのは、時間がないっていうあのスケジュールの中でどうなのか。

なぜ倉持はクマに厳しい態度をとらないのか。

人間の言うことを聞かないってなめられているよね。
犬のような群れ社会の生き物には必ず誰がボスなのか教える必要なあるはずなの。大体日本で訓練しておいていきなり南極でクマがいうこときかないってありえない。
以前、日光江戸村の猿回しの一座のドキュケンタリ見たけど、新人さるまわしと猿の一番の峠は、さるまわしの人が猿を噛むというのがあった。その人は涙ぼろぼろこぼしながら猿が悲鳴を上げるまで噛むの。そうやって人間の優位を教え込んで、それから一心同体になるわけなんです。
だから倉持もそうするべきだった。

私が脚本だったら、倉持が泣きながらクマを打ち据えるシーンを書いたかも。動物愛護の問題でそれはできない、というなら、そこまでずっと悩ませておいて涙を浮かべて棒を振り上げたとき、ようやくリキが倉持のそばを駆け抜けクマに襲いかかるという演出にしたかも。
「動物のお医者さん」という漫画でやはり犬ぞりの話があって、いうこときかない犬が主人公のハムテルをうっかり噛んじゃったら他の犬が一斉にその犬に襲いかかったっていう感動的なシーンがあったんだけど、そういう面白エピソードを思いついてほしかったな。犬ぞりの人とかにもっと取材すべきだったんじゃないかな。犬が主役の話なのに。脚本家、犬のことわかってないんじゃないかな。いや、私は犬飼ってないけどさ。
倉持の感情が書けてないっていうか、キムタクはひたすら叫んでいるだけで、犬たちの問題をまったく解決してないんだよ。
今のままじゃ犬の表情に頼ったカメラにしかなってない。
リキの悲哀に満ちた目とか、クマのうろんな目つきとか、犬の感情の方がよくとれているんだよ。
船にのこされるトムとかしょんぼりした顔の見事なことといったら。

「南極大陸」の前のドラマ「仁」がよかったのはひたすら仁先生の感情があふれていたからだと思う。仁役の大沢の感情に見ているこっちも揺さぶられるわけなんですよ。
でも木村の感情は伝わってこない。犬がいうことをきかなくてイライラしたりとか、厭味言われてむかむかしたりとか、犬が走ってくれて嬉しいとか、伝わらないのね。

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さて、一方の「ベム」。
いやあ、ベラの再現度にびっくりだ(笑)。
話としては人間になりたい妖怪たちが、人間を襲う妖怪とかなにかと戦う、といシンプルなもので「人間には無限の可能性がある。人間に生まれただけで幸せじゃん」というテーマなわけで、そこに勧善懲悪めりこんでいくんだから、非常に脚本は書きやすいと思うのね。
悪いもの退治って日本人好きだし。キャラクターも個性はっきりしてるし。
うちの母親も「南極大陸」はどうでもいいけど「ベム」は見るって夕方から待っているしね。
妖怪に変身したとき、カメラが不自然な歪み方するのはあまりいただけないんだけど(そもそもベムたちの視点から撮る必要があるのか?)、これで面白くない脚本書いたらまずいだろう。
ベムたちの感情の出し方は役者さんの演技じゃなくてシナリオ通りなんだけど、セリフはストレートで誰にでもわかりやすい演技に頼らない方法。
旅から旅への原作と違い、ご近所妖怪退治みたいな感じだけど、涙の秘密とかの味付けもあって、これからも楽しみだ。

そういえば「南極大陸」には愛菜ちゃん、「ベム」には福ちゃんが出ているんだな。
そんでベムの役の人の声やしゃべり方がなんかキムタクに似てるなあと思ってたら、ジャニーズの人なんだね。ちょっとかっこいいね。

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霜月りつ@文筆業

Author:霜月りつ@文筆業
白城るた・あるいは 真坂たま、白雪真朱と名乗ってBLやTLやファンタジーを書いてます。最近は霜月りつ名義で時代物も。
主に読書と映画と着物と同人の日々。独断に満ち満ちてマスので、ついてこれる人だけれっつごー。
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