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「マッチ売りの少女」が消えるとき~都条例「非実在青少年」規制問題について

かつて「ちびくろサンボ」というお話が日本の書店から消えたことがある。
タイトルや本文中にある「ちびくろ」「土人」という言葉が、黒人への人種差別だと言われたせいだ。

木の上にのぼったサンボを狙って4匹のトラが木の下をぐるぐる回り、とうとうとけてバターになって、サンボと両親はそのバターでおいしいホットケーキを食べました、という話でよだれをたらさなかった子供はいないだろう。
トラがまわってバターになるという発想もすばらしい(なりそうだし)。

この話を読んでどの子供が差別なんて考えただろうか?

近年「ちびくろサンボ」は復活したが、こんなふうに簡単にお話というのはなくしてしまえるのだ。


今回の都条例が通って「非実在青少年規制」となると、アンデルセンの「マッチ売りの少女」はどうなるのか。
幼い少女が雪のクリスマスにくつもはかずにマッチを売らされ、結局凍死してしまう。児童虐待のさいたる話だ。

炎の中においしい料理を、クリスマスツリーを、やさしいおばあさんを夢に見る、という美しく幻想的で悲しい優しい話が
「非実在青少年の不健全な表現(性表現や暴力表現等)が含まれる作品を取り締まる」
という味も素っ気もない条例で消えてしまうかもしれないのだ。

そんな馬鹿なと思われるかもしれない。でも究極的にはそういうことだ。
「とりしまり」というのは誰がどう線を引くかでどんなレベルにもなりうるのだ。

「暴力」のレベルをどこに置くのか。げんこはだめでビンタはいいのか、シッペはいいのか、手を上げた、というのはひじから上か、肩から上か。
そんな細かい行為はめんどうだ、子供が泣いたら暴力だ、倒れたら暴力だ、よろけたら暴力だ。

表現は、言葉は、いったいどうしたらいいのだろう。

アンデルセンの「マッチ売りの少女」。彼女は今マッチの火よりもたやすく消えようとしている…………


【追記】

こちらのニュースサイトによると、条例の条件がかなりせばまり、見た目幼いだけでは規制にならない、とか、「法令用語」として行為が限定される、とか変わりつつあるけど、「言葉・表現」に他人が介入する、干渉するという不安感はやはりぬぐえません。決議は今日なんですよね……

っていうか、イメージの子供を規制したり守ったりするより、現実の児童虐待や児童売春を阻止するのにその情熱とお金をかけてよ、って思うんだけど。非実在青少年より、実在青少年の方が大事でしょう。
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霜月りつ@文筆業

Author:霜月りつ@文筆業
白城るた・あるいは 真坂たま、白雪真朱と名乗ってBLやTLやファンタジーを書いてます。最近は霜月りつ名義で時代物も。
主に読書と映画と着物と同人の日々。独断に満ち満ちてマスので、ついてこれる人だけれっつごー。
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