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小説を書くというのは砂漠を渡ることに似ている

小説を書くというのは砂漠を渡ることに似ている。

今、私は小説を描くと言う無謀な一歩を踏み出した。
それは目の前に広がる砂漠を抜けて、はるかかなたのオアシス(エンディング)にたどり着くということだ。
砂漠は広く、果てしなく、右も左もなく標識もない。
持っているのはいいかげんな地図(プロット)だけ。

それでもきっとオアシスはあると信じて踏み出す。

最初の出足は遅い。一日数歩しか進めない。
すぐに疲れて持ってきた漫画を読んだりゲームをしたり映画を観たりして時間をつぶす。
時間は無限ではない。
背中にしょった時計が〆切の時間をチクタクと刻んでいる。

それでも次の日も、次の日も、きっとできる、到達する、と信じて歩き続ける。

このあたりの進み具合はほんっとに遅い。
自分でもいやになるし、ほんとにこの砂漠を超えられるのか不安になる。

ときおりそんな砂漠の中に小さな泉(アイデア)が湧き出すこともある。
私はその泉に飛びつき、水をごくごく飲んで、しばらくは元気に走りだす。
だが、じきに乾いて倒れ伏す。

じりじりと這うように砂の上を進んでいく。

やがて目の前に巨大な砂の山が立ちふさがる。
これさえ超えればオアシスはじきだ。

私は砂山に手をかけ、のろのろと昇ってゆく。
時折砂が崩れてふもとに転がり落ちたり、道を間違えたかと別ルートを探してみたり、全然違うところをうろうろして迷ってみたりする。
背中の時計はもうチクタクではなく、ジリジリジリジリとベルを鳴らし続ける。

しかし、やがて頂が見える。

頂上だ。

私は振り返る。
砂の上には私がたどってきた足あとが一歩一歩ついている。
あんなに広大だった砂漠、なにもなかった砂の上に、私の無数の足跡がついている。
歩きだしたときはいつ果てるのかと思っていた砂漠も、一歩一歩進めばいつかはここまでやってこれるのだ。

私は頂上から見下ろす。

すると見ろ、すぐそこに緑豊かなオアシスがあるじゃないか!

私は叫びながら砂山を駆け下りる。
勢いがつく。
とまらない。
足が進むより先に砂が私の体を運んでゆく。
走るのすらもどかしい。
今なら空だって飛べる。ほら、ジャンプ!

ここまできたらもう他を見ることはしない。
目的地までまっしぐら、夜だって眠くない、食事もとらなくても平気になる。

そして。

私はついにオアシスへ飛び込むのだ。

それはすばらしい快感! やり遂げた歓喜! 自分に対する称賛!

この快感をどう伝えればいいのかわからない。
それは同業者にしかわからないのかもしれない。

私はしばらくそのオアシスに浸り、眠りにつく。

そして気が付くと―――

また私は別な砂漠にいる。
おや、ここはさっきの砂漠とは砂の色が違うようだ。
そうだとしたらオアシスの色も味も違うのだろう。
つぎのオアシスはどんな快感をわたしに与えてくれるのか?

そうして私はまた新しい砂漠へと足を踏み出すのだ。


さて、次の書かなきゃ。



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霜月りつ@文筆業

Author:霜月りつ@文筆業
白城るた・あるいは 真坂たま、白雪真朱と名乗ってBLやTLやファンタジーを書いてます。最近は霜月りつ名義で時代物も。
主に読書と映画と着物と同人の日々。独断に満ち満ちてマスので、ついてこれる人だけれっつごー。
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