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ちはやふる25巻と26巻感想

ちはやふる25巻の感想がここまで遅れたのは、なんというか、感想の書きにくい巻だったからです。
しかしもう26巻が出てしまったので、ちょっとでもふれておこうと。

なんで感想が書きにくいかというと、原田先生の巻だったからです。
そりゃあ名人の過去話しとか乗っていたけど、ほとんど原田先生の情熱と執念にもっていかれた巻でした。

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原田先生の巻だとどうして感想が書きにくいか? 
なんというかつっこむ隙がないというかですね、感想書くために読んでたらもう読むだけになっちゃってなにも考えられない。
圧倒的な勝負の世界に口がはさめないんです。

それにしても、手のつけられない「感じの良さ」を武器にする名人に対し、原田先生がどうやって勝っていくか、よくもまあ毎回末次さんはそういう戦略を考え出すものですよ。
もつれにもつれてアップしてダウンして、紆余曲折あってついについに決着がついてしまうんだけど、もう読んでいる方は原田先生の苦しさと一体になって、事実決着つくまで私は息をしてなかったんじゃないかと思うほどでしたが、ついに決着がついてしまいました。
ああーーーううーーー。

ちはやふる(25) [ 末次由紀 ]

価格:463円
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感想(24件)




そして26巻。
26巻は少しライトな巻でしたが、ここにきてこれが少女マンガだということを思い出させてくれる巻でした。

ちはやふる(26) (BE LOVE KC)
末次 由紀
講談社 (2014-10-10)


恋愛モノきたーーーーー!!!

試合の話はひとつだけで、あとは楽しい学園ライフ。
そしてラストにどーんと重い恋愛モノとなっています。
そうだよ、これ恋愛絡みだったんだよ。
そしてさりげなくなくクーベルチュール押しが強引(笑)。

choco_osi.jpg

バレンタインネタがはいっているせいです。作者も楽しんで描いているなー。
そのあとの太一の誕生日ネタも大笑いです。
二回もひっぱって大騒ぎしますが、これが次の回のシリアスな恋愛ものへのホップステップになっているわけです。

1014_6.jpg
珍しい太一のヘン顔。

ところで今回画面についてですが、31Pの描写がすばらしいわけです。

1014_3.jpg

このページで千早の「からっぽ」な感じが表現されているんですが、そもそも絵で「からっぽ」を表現するのはむずかしいわけですよ。何もないのを描くわけですからね。
しかしこのページではものすごくうまく千早は「本能で」とっているような描写になっているわけです。

描写の妙で言えば太一が千早に告白するあの見開きのシーン、136、137P。
(これから読む人のために絵は載せません)

あそこもすばらしいですね!

通常ああいう告白シーンは顔のUPで描くと思うんですよ。でもカメラは二人から少し離れた場所で低い位置にあり、太一は顔を片手で隠しています。読者に見えるのは千早の顔だけ。
つまりここでは千早は一瞬太一がなにを言っているのかわからない、という描写がされています。
そして5Pも経てから千早の胸の中に太一の言葉が、そして今までいろいろと思い当たる部分が「ぶわっ」と降りてくるわけです。
千早だって太一の言動を意識しなかったわけじゃないと思うんですが、意識的にか無意識にか、それを恋愛感情から遮断していたんですよね。それがいっせいに千早の中によみがえってくる。
千早の表情はそこから6Pまるまる変わりません。読者的にはほとんど無表情に近い千早の顔にちょっともやっとはするんですが、そのあとの千早が答えるときのつらそうな顔、いくら千早がKYとは言え、これを答えるのはつらかっただろうなあと思うわけです。

さてここで新の告白シーンを思い浮かべてみましょう。コミックス23巻を用意。

実はこちらも告白シーンはカメラが引いて下からの目線です。
でもその前のコマで新は笑っているし横顔もはっきり描かれています。
ちはやの表情は太一のときと同じびっくり顔ですが、効果の違いで新のときの方がストレートに心にはいってきている描写になっています。

1014_1.jpg
新の時
1014_2.jpg
太一の時

新のときはなんだかキラキラした効果なのに、太一の時は影がトーンで多く使われ、効果は風と「散る」花です。
「散る花」です。大事なことなので二回言いました。
百人一首にもありますよね。
「ひさかたの 光のどけき 春の日に 静心なく 花の散るらん」
穏やかな春の日なのに、千早の心も太一の心も狂ったように舞い散る桜のように荒れ狂います。
そして散った桜は失われてしまうのです……。嗚呼……。


そしてそして。
最後のキスシーンなんですが(これから読む人のために以下略)。
ここでも太一の顔はぜんぜん描かれていないわけなんですよ。前髪で表情が隠れている。
告白のシーンでも顔を隠していた太一ですが、そのあと千早をくどく(?)シーンではかっこよく真摯な表情がたくさん描かれています。
しかしこのキスシーンのあとの太一の顔はうつろな感じです。
「石でできてるとでも」という顔は私にはどうしてこの表情で描いたのかよくわかりません。
つらそうな顔でもなく、自嘲でもなく、感情の伺えない表情です。
でもそのあとの「真っ黒に見える」という横顔は、怖いくらいの「虚ろ」です。
千早はキスのショックより、太一の虚ろがショックだったのではないでしょうか、もちろん、「百枚全部真っ黒」という言葉もショックだったとは思いますが。
人の感情や風景があふれた札に色が見えなくなってしまうというのは、太一の感情が死んでしまったからです。
それを成してしまったのは千早自身です。

しかしねえ……。

これは千早のせいではないわけですから、いかんともしがたいわけで。

表紙美しいですね!
ちはやふる(26) (BE LOVE KC)

そんなわけで次巻がでるまでじたばたと苦しい日々を送らなきゃいけないわけですよ。
ああ……早く福井の新がカルタ部作って瑞沢高校に戦いを挑んでほしい。

※画像引用 講談社 末次由紀「ちはやふる」23.25.26巻より
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プロフィール

霜月りつ@文筆業

Author:霜月りつ@文筆業
白城るた・あるいは 真坂たま、白雪真朱と名乗ってBLやTLやファンタジーを書いてます。最近は霜月りつ名義で時代物も。
主に読書と映画と着物と同人の日々。独断に満ち満ちてマスので、ついてこれる人だけれっつごー。
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