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実写版ガッチャマンにギャフン

実写版ガッチャマンを観てきた。感想ネタバレとあらすじ。

映画「ガッチャマン」公式サイト
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画像引用―――映画「ガッチャマン」

 私の好きな映画ブロガーさんがこぞってだめ出しをしていてそんなにだめなのか、と怖いモノ見たさで観に行った。たぶん、こういう人が支えているんだね。

いつも冷静な筆致でものすごい数の映画の試写を感情を荒げることなく的確につづられるブロガーさんは「あの美しかったガッチャマンを貶めたのは、「誰だ!誰だ!誰だ!」と怒り、ユーモアあふれる文体で特撮の魅力を十二分に語られるブロガーさんは開始30分で「助けて!」と悲鳴をあげられる。
 過去にガッチャマン同人誌を10年続けた私としては、骨を拾ってあげるくらいのつもりで観に行った。

 おや、レディースデーだからかお客さんけっこうはいっているぞ。しかもカップルが多いぞ。これってカップル映画だったのか……50代後半の主婦グループもいるな。

なにはともあれはじまったか。

…………。

えっと。

まあ、ガッチャマンを知らない人や、松坂桃季くんや綾野剛くんを好きな人はうっすら楽しめたと思うよ。ごーりきちゃんのファンは、白鳥のジュンのようなミニスカパンチラアクションが見れなくて残念でしたね。

見よ! アニメのジュンの、巨乳でもロリ体型でもない、しっかりと筋肉のついた骨格すらわかるような美しい肢体を!
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画像引用 科学忍者隊ガッチャマン(タツノコプロ)

うん。これガッチャマンじゃないね(さわやかに)。

だいたい、誰もひとこともガッチャマンとも科学忍者隊とも言ってくれない。タイトルにガッチャマンってでるのに。
適合者適合者って、じゃあ「TEKIGOSYA」ってタイトルにすればよかったんじゃないの?

聞いた話だと監督は「原作にとらわれないでいこう」って、じゃあだからどうしてガッチャマン使うのよ?

南部博士、ISO、ギャラクター、ベルクカッツエ、健、ジョー、ジュン、甚平、竜。名前だけ同じにしても意味がないよね?

ヤマト2199は前作を知っている人も知らない人も楽しめた。いや知っている人なら10倍楽しめた。前作に敬意と愛のある作品だった。
いろいろ言われているけどキムタクヤマトだってちゃんと前作への愛は感じられたし、納得できた。
でもこれはどうなの?
キャシャーンやヤッターマンを観てないからわからないけど、タツノコプロの作品ってそんなにその通りやりたくないものなの?
そりゃあ確かにデザインは奇抜かもしれない、キャラが濃すぎるかもしれない。でもそれは私たちにはかっこよかった。そのキャラクターがかっこよく、心ふるわせるストーリーが、骨組みができていた。
それを。
かっこだけまねしたらそりゃあ学芸会だよ。
役者さんたちもかわいそうだよ。これにでたばかりに汚点扱いされるんだぜ。

わたしがガミガミ言っててもわかってもらえないと思うのであらすじ書くよ? どうせみんな観に行かないよね? っていうかあらすじ読んでから観ても別に大丈夫だ。
だってこの作品には映画のときめきがない。わくわく感がないから。


世界は破滅していた。16年前だかそのくらいに突然現れたギャラクターのせいで。
ギャラクターはウイルスXに感染した人間が変化した新生命体で、その体からでる赤い光がすべての兵器を無効にする。
ヨーロッパは破滅だ。

ところかわって日本。
あれ? 普通じゃん。町に自衛隊の人がいたり戦車がとおっていたりするけど、町並みは明るい。
「感染列島」でも思ったけど、邦画って現代の町の荒廃苦手だよね。
ジュンなんか大きな買い物袋をたくさん持ち歩いている。
潜入捜査って言ってるけど、東京に入って買い物するのが潜入捜査?
東京ではISOの会議が行われていて南部博士もいる。岸谷五郎さんの南部博士はちょっと頼りなさそう。やはりここは故 芦田伸介さんに。
そこへギャラクターが攻めてくる。バトルシップにでてきたような、蛇がとぐろまいて車輪になっているようなメカ。
自衛隊は応戦するけど兵器の聞かないギャラクターに倒されていく。
そこへさっそうとあらわれる我らがガッチャマン適合者。
適合者はなんか魔法の石の力で強くなってて、ギャラクターの赤い光を通り抜けて直接打撃ができる。

うん、石の説明ないね、科学では解明できてないんだ。

バードスーツ(とも一言も言ってないけど)はアイアンマンみたいにメカメカしくってかっこいい。でもマントがペナペナ。バードスーツのマントってなんか堅そうなイメージあったんだけどな。
このスーツがメカっぽいってのは役者さんたちの体型が細いからなんだろうな。たとえばスーパーマンなんかのあのスーツ、青いのに赤いブリーフってそれだけだとお笑いだけど、筋肉のある体で着られるとかっこいい。
女性のバストがそれだけで美しいように、男性の筋肉もそれだけでかっこいいのな。えりくびのあいた青いぴっちりスーツでもスーパーマンは笑えない。
アニメのガッチャマンでも彼らの肉体は細身でもちゃんと筋肉がついていたから、おかしくなかったんだよね。
 
「俺が見えるか悪党ども。実体もなく忍び寄る白い影が」

 世界征服をたくらむ軍隊に「悪党」か。そこは「ギャラクター」でよかったんじゃないかな。細かい? でもアニメガッチャマンの最終回、ジョーが死にゆくときに、近づいてくるギャラクターに激怒きわまった健が「それ以上近づくんじゃないッ、ギャラクター!」と怒鳴った時がかっこよかったんだもの。
 で、雑魚戦を戦って、幹部っぽい人と戦う。
 ここはなかなかよかったですよ、ガッチャマンといえばやはり肉体アクションだものね。壁から壁をジャンプしながらのスピーディな空中戦。落っこちた先がおもちゃやでタイムボカンシリーズやポリマーのおもちゃがあるのはサービス。
健が戦う幹部はプレデターみたいなデザイン、一方竜が戦うのは「ガッチャマンクラウド」のはじめちゃんが変身したみたいなゴスロリ仮面。
このキャラクターがでると日曜朝の特撮モノみたいな感じでがっかりする。

さてメカがISOに突入するのをとめるためにワイヤーを壁に打ち込んでそれを手で持ってひっかけるんだけど……。
いや待って。なんでそんなことできるの? 適合者ってそんなに力強いんですか? 
説明もないけど。っていうか、むしろワイヤー打ち込んだビルがもたなくね?

メカの中に入り込んだジュンが自爆装置を解除しようとするけどできない。なんとか止めたけどそれは解除じゃなくて破壊。
原作のジュンは爆弾のエキスパートだったんだけどなあ。こんなところでゴーリキさんのかわいらしさ見せても。せめて優秀さを見せろよ。
で、そうこうしているうちに甚平が危機に陥るんだけど、それを助けたのがジョー。
一緒のチームじゃなかったのね。ジョーはヨーロッパ支部から来てて健とは昔なじみ。人なつこいジョーに健は微妙な感じ。

基地で健康診断を受ける5人。ゴーリキジュンは松坂健が好きです。露骨に好きです、が、自分からは言い出しません。竜や甚平にからかわれているのを健が気にしてくれればなーというスタンス。

そんな彼らに新しい任務が。ギャラクターの幹部だったイリヤ(中村獅童)という男が、カッツエとの跡目争いに負けて亡命してきた。情報を得るために彼を確保しろと。
イリヤはどこかのパーティ会場にいるので、健とジュンはカップルで会場へ。そこに入るには招待状と手のひら認証が必要なので、甚平が抜き取った招待状の人物に健たちが偽装する。
……いや、待ってよ。世界の一大事なんでしょう? どうしてISOの力で正規の招待状くらい手に入れてないのよ。
しかもその偽装工作のための時間が長い、長すぎる。ここで招待状の人物じゃないとばれたらどうしようハラハラ……ってそんなハラハラいらない。っていうかハラハラしないし!
 
「アルゴ」でイランからアメリカ人たちが脱出するときに空港で止められて、そこへ警察が迫ってきて、飛行機はもうじき飛び立ちそうで……というあのハラハラ感! ハラハラさせるのは命がかかっているとき。ここで偽装がばれても追い返されるだけじゃん。
なんのためにここで時間とるのよ。

まあとにかく会場に入ってイリヤに接触。でもイリヤはかつてジョーの恋人のナオミを殺した男だったので、ジョーは任務を優先せず殺そうとして健に撃たれる。死なないけど。

ここで回想。健とナオミとジョーは同じ研究所で育ち、実戦配備のときにジョーがナオミにプロポーズ。ナオミを好きだった健は身を引く。しかし初戦でナオミは健をかばって殺されてしまう。

というわけで健とジョーには好きだった女をとられた、好きだった女を殺されたという確執があるんですね。

いや、別にいいよ、ロマンスは味付けだよね。キャラクターの人間設定に深みをもたせるよね(棒読み)。

イリヤはISOに確保されるが逆にカートライド博士を拉致して逃げ出す。
追いかけるジョーがみたのはイリヤの変装を解いたナオミだった。死んだと思ったナオミはウイルスXに感染しギャラクターに、しかもベルク・カッツエになっていたのだ。

ここで時間をとってギャラクターとカッツエの関係がナオミから語られる。カッツエというのは世襲性だったみたいです。そしてギャラクターは300人いるそうです。

わからないのはウイルスXに感染してギャラクターになって、それでどうして性格も変わって悪の組織になっちゃうのか?

ナオミはちゃんと記憶もあって、自由を奪われギャラクターを戦うために育てられたという過去を憎んでいる。それでギャラクターになったというんだけど、ウイルスXは意識までねじまげるの?

当たり前だけどウイルスXについても説明なし。昔からあって感染したものはゾンビとか悪魔とかいわれてたというだけ。
今時のラノベの方がもっと設定凝ってるよな!

で、ナオミはジョーにキスして去ってゆく。ギャラクター同士が手を取り合うとゲートが開いてどこでもドア。
……だったら最初からそれ使って博士を拉致れば?

博士がつれてこられたギャラクターの基地の中はなんか洞窟っぽい。
これがねー。
もう歴代の東宝特撮アクションででてきたような洞窟でねー。いかにもな石のセット。
どうしてこうなっちゃうのかな。ギャラクターは悪魔だから? メカ使えないの? 
カッツエが指令するときも変な光の玉とか操るだけだし。妖怪大戦争か?
ギャラクターは悪の科学軍隊組織だったんだよ?

博士は人工衛星を操るメカを自分に埋め込んでたので、その博士を操って地球の六大都市を破壊する作戦。
海の中からギャラクターの基地が浮上する。
え? これがタートルキングなんですか? タートルキングはね、ロボットなの。鉄獣メカなの。基地じゃないのよ?
残念、大きいんだろうけど重さがあまり感じられない。アニメガッチャマン第一話のタートルキング、あの夜の嵐の中でうごめくあのロボットはアニメなのに、絵なのにすごい質感と重量を感じたのに。

ガッチャマン適合者たちはゴッドフェニックスで発進、テストもしてないって竜が嘆く。

あれ、ちょっと待って。
ゴッドフェニックスの中、なにこれ?
今風に全面パネルで空が丸見えなのはいいよ、でもあんたたちが座っているそのイス、うちの会社にあるオフィスチェアーだよね? ネットの。コンパネもないよ? なに? 予算削減? 確かにアニメでも健が「節約のためバードミサイルは極力使わない」っていってたけどさ。

こんなの。
オフィスチェア Ergohuman エルゴヒューマンエンジョイ ハイタイプ EJ-HAM  BK (KM-11)

ま、まあとりあえず基地につっこんで進入。
でも基地がせまくて(あんなに大きい風に描かれているのに)適合者たちは狭い通路で敵を一人ずつ倒すような感じに。ガッチャマンの飛び回るアクションが使えない。

よくいえばみはらしのいい、普通にいえばなにもないカッツエの指令室で、再び対峙するジョーとナオミ。

なんかもう博士が洞窟につれてこられたところからどんどんセットがしょぼくなっていくよ。

ナオミはジョーにキスして「あなたが新しいベルクカッツエ」と言い、ジョーの姿がベルクカッツエにかわっていく。え? 綾野剛くんがハイレグ水着姿になるんですか?? 期待したけど半分だけだった(笑)。 
そこへ健がやってきてナオミを倒すんだけど、ナオミは最後まで二人が愛した人間には戻らなかった。
三人の葛藤や愛憎がまるで感じられないセリフの読み合わせが残念。

人工衛星からの発射は5つまで止められたけど、最後の日本に向かっての発射は止められない。ビームをとめるために基地ごと人工衛星に突入だ! 
って、待って待って、いったいいつ宇宙に飛び上がったの? それだれが運転してるの? 説明なかったよね? あとから言ってるだけだよね?

基地をぶつけて自分たちは脱出しようとするけどタートルキングに突入したときに機材に絡んで動けない。
「バードミサイルだ!」
……失敗。
「もう一回バードミサイルだ!」
 いやここは火の鳥だろう? アニメガッチャマンでもタートルキングから脱出するときは火の鳥だったじゃん。もう私は泣きそうです。
 で、二度目のバードミサイルを撃って、人工衛生に突入して爆発して、その爆発から飛び出す火の鳥。

 違う!
 節子それ火の鳥違う!
 ただ燃えてるだけ。

 ここで甚平が一言。

「これぞ科学忍法火の鳥」

だ ま れ、小 僧 !

ガッチャマンという言葉も科学忍者隊という言葉も使わず、科学忍法という言葉はこの映画の中で二度だけ、甚平によって茶化すような感じで使われました。
科学忍法ってそんなにおかしい? そんなに使うの恥ずかしい? ジョーク扱いしなきゃなんないほど?

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画像引用 科学忍者隊ガッチャマン(タツノコプロ)

アニメのガッチャマンでは、火の鳥はね、誰も使いたがらないの。
健がしぶしぶ、ほんとに危機のときに「(仕方がない、背に腹は代えられない、万が一死んだらごめん)科学忍法火の鳥」って言って、ジャーンと不気味な音楽がなって、みんながぎょっとして、あの、ギャラクターをやっつけられるなら俺は死んだって平気さ、というようなジョーだって顔色を変えて「健、それを使えば俺たちはーーー」と口ごもっちゃうくらいのひどい技なんだよ。

火の鳥が嫌いなジョー。
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画像引用 科学忍者隊ガッチャマン(タツノコプロ)

後半はよく使っていたけど、決め技みたいに毎回気軽に使えるようなものじゃなかったんだよ。それをね。

茶化すか。

はあはあはあ。

で、生還してきたんだけどジョーは半分ギャラクターになりかけてました、続くって感じで終わり(投げやり)。

うん、ないわ。
続編はない。


こんな作品撮るならまったく違う作品にしてくれた「ガッチャマンクラウド」の方がまだまし。
この映画は、あとからあとから、話が進んでいくほどに破綻してきて、すべてがちゃっちくなっていって。

ジュンの健が好きって気持ちもうわべだけみたいな扱いで、もし恋愛メインにするならジュンと健の恋愛メインすべきだった。最後にカッツエと対峙するのはジュンにすべきだった。それこそジュンが健をかばうとか。

原作のジュンにはそういう大和撫子的な部分があった。シマシマのパンタロンはいてミニスカはいて敵を蹴りまくっていても、健に対しては密かに支える芯の強い愛情だった。
アニメガッチャマンの最終回ではそうして耐えていたジュンが、任務のために自分の感情を抑えていたジュンが、最後に健に言う。

「ここでみんなと一緒に死にましょう。わたしもういや! ジョーのように、あなたのお父さんのように、離ればなれで一人で死ぬなんて!」

こんなせりふがアニメであっただろうか? 
一緒に死のう。
確かに日本人らしいセンチメンタリズムだけど、誰だって最後は愛する人といたい。最後はわがままを言いたい。視聴者は許したはずだ。これまでのジュンの健に対する気持ちを知っていたから。

でもこの映画ではジュンの恋愛感情はほんの添え物だった。だからいろんな人に任務中でも恋バナうざいって言われてしまう。本気が見えないから。

デビルマンと比べられてしまうんだけど、ストーリーはデビルマンと同じくらいだめ。CGはむしろデビルマンの方がきれいだったかもしれない。

日本の特撮もさー、平成ガメラができたときに、メカゴジラできたときに、ここまできたか、やったかと思ったんだけどなあ。

とろこでこの記事に「~みたいな」とか「~のような」って言葉がよく出てくるけど、うん、そう。どのデザインもなんか見たことあるみたいな。オリジナリティがない。たぶんこれはデザイナーのせいじゃなくて上から「~のようなのにしてね」って言われたんじゃないかな。
制作者にオリジナルのイメージがないとどうしようもないよね。

どうせ原作を破壊するなら原作クラッシャーと呼ばれる今川泰宏さんが絵コンテを描けばよかったんじゃないかな。そうしたら(いい意味で)あきらめもついただろう。
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霜月りつ@文筆業

Author:霜月りつ@文筆業
白城るた・あるいは 真坂たま、白雪真朱と名乗ってBLやTLやファンタジーを書いてます。最近は霜月りつ名義で時代物も。
主に読書と映画と着物と同人の日々。独断に満ち満ちてマスので、ついてこれる人だけれっつごー。
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