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風立ちぬ 感想 あらすじ ネタバレ

風立ちぬ を観ましたよ。
まあいろいろ言われていますが、私にとってマイナスだったのは主役の声だけでしたね。

風立ちぬ サウンドトラック
風立ちぬ サウンドトラック

お話は次郎という少年が夢だった設計技師になって理想の飛行機を作る、というそれだけで、あらすじもネタバレもないのだけれど、さすがに映画として見せるにはそれではあまりにも足りないので、次郎の夢を画面の中で見せる。

幼い頃夢の中で出会ったイタリアの飛行機設計の天才・カプローニ。
「これは私の夢だと思ったが」
「僕の夢です」
 飛行機好きの二人は夢の世界を共有する。

この夢の共有というのはけっこう昔から言われてて、マンガでも何度かネタになっていた。
世界には大きな無意識界があってすべての夢はその無意識界に存在するのだという。
だから同じ夢を見ることもあるだろうし、同じアイデア、同じ物語を考えたりもする、というものだ。

その夢の中で次郎少年は「美しい飛行機を作りたい」と告げ、その夢に向かってまっすぐに進んでいく。

映画に出てくる奈穂子がヒロインの小説はこっち。
菜穂子―他五編 (岩波文庫)
菜穂子―他五編  (岩波文庫)

田舎から東京にでてきたその日、列車の中で帽子を拾ってくれたかわいい少女と出会う。その直後、東京大震災に見回れる。
このシーンが恐ろしかった。何度か映画館でこのシーンの予告は観ていたが、人の声のようなうなりのような音があわさると腹の底が冷える思いがした。
実はこのシーンのコンテは3,11の前に描かれたのだという。でも海がふるえ、大地がドコドコと盛り上がり、家がなぎ倒されるように崩れるシーンはあの津波が街を飲み込むシーンと同じ恐怖を感じさせた。

次郎は列車の少女と女中を救い、名も明かさず去る。

その後名古屋の三菱工場に就職し飛行機の設計にたずさわる。
優秀な人材ということで5年でチーフになった彼はドイツの飛行機を見学に行ったり、勉強会を開いたり、飛行機の設計に情熱を燃やす。

このへんまではもう男しかでてこない会社の描写ばかりで、ひさしぶりに次郎がみた夢の中でカプローニと再会し、彼の巨大な飛行機に招待され、そこで大勢の女性がスカートを翻しているシーンを観ることができてものすごーく癒された。
いや、女性のスカートは正義だとつくづく思ったね!
スカートが翻る世界こそが平和の象徴だ。

そして次郎は軽井沢で震災の時に会った少女、菜穂子と再会する。短い期間で二人はたちまち愛し合い、菜穂子の父の目の前でプロポーズまでする。

いや、お父さんが気の毒だと思いましたヨ。こういうまったく空気を読まないところが技術者なのかな。

しかし菜穂子は母親と同じ結核に侵されていた。婚約はしたが次郎が仕事をしているときに喀血して倒れてしまう。
それを聞いた次郎は大粒の涙を流しながら菜穂子の元へ向かう。

この若い二人の情熱的なさまは抱き合うシーンによく現れている。ぎゅうっと抱き合うその腕の描写、密着する体。

やがて菜穂子は療養していた山の病院を抜け出し次郎のもとへやってくる。
この療養所なんだけど、建物の外にベッドが出してあって患者は毛布にくるまり手袋や帽子をかぶって寒さに震えている。
菜穂子はお金持ちの娘なのになんでこういう病院? この当時、結核患者がそれほど多かったの? それともこれが治療なの? そのへんの説明がなくて驚くだけ。

上司の家の離れに下宿していた次郎の元に身ひとつでやってきた菜穂子、結婚していない男女を一緒に住ませるわけにはいかないという上司に「ここで結婚する」と言い出す二人。
上司の奥さんがよくできた人で、ちゃっちゃと結婚の用意をしてくれる。
髪をおろした菜穂子はきれいだったけど、着物はもう少しいいものを出してあげてよ、奥さん。あれじゃ浴衣だよ。

初夜の床は菜穂子から布団をめくって「きて」
宮崎駿にしては大胆な描写と言われていたが、え? これだけ? これだけで大胆と言われるのか、そうか。男性にとって「きて」はロマンなんだろうな。

そして嫌煙会から苦言を呈された喫煙シーン。言われるほど煙草吸うシーンないよな、と思っていたけど、結核の人のそばでいくら「吸っていい」と言われたからって吸うなよ。キスで我慢しておけなかったのか。

やがて次郎の美しい飛行機は完成し、それを聞いた菜穂子は一人、山の療養所へ戻る。上司の奥さんはつぶやく。
「一番きれいな時だけを一緒に過ごしたのね」

次郎が菜穂子と作り上げた夢の飛行機は、しかしゼロ戦となり多くの国を焦土と化し、また多くの兵士を戻らぬ戦争へと運んでいく。
無惨な醜い飛行機の残骸の越えた丘の上で、次郎はカプローニと再会する。そして菜穂子とも。
カプローニに美しい飛行機だと称えられた次郎は、それに乗って飛んでいく兵士を見送りながら「誰も戻ってきませんでした」と答える。
しかし次郎は後悔していない。美しい夢を追いかけ、それを形にした彼は自分が兵器を作っただけなのだとしても、決して後悔はしていない。

彼は夢と罪を抱いたまま生き続けるのだ。


夢のシーンと現実が交互に描かれるので、夢のシーンではアニメーションならではのファンタジックな描写を、現実のシーンではリアルな当時の生活を楽しむことができました。
基本的に次郎も菜穂子も上流階級の人間なので言葉使いは丁寧で、仕草も優雅です。上司や同僚も節度を持ち、逞しく理性的な姿に描かれます。戦争のシーンは直接的には描かれず、すべての人や風景が”美しい在りし日の日本”。

長丁場で地味な話ではありながら、絶妙なタイミングで夢や愛のシーンを挟んで観客の心をつかみ続ける技はさすがに宮崎駿だと思いました。だからこそ、主役の声がなー。
いろんな人が最終的には「あってた」というけど、それはたぶんあきらめなんじゃないかな。
映画の観客のことをかんがえるなら、庵野監督は断るべきだった。自分が一観客として映画を見たときにあの主役で許せるか考えたのだろうか? 宮崎監督は声優の「作られた声」がお嫌らしいが、俳優が声を演じれば、どうしたってその俳優の顔がちらつく弊害はある。だからといってすべて素人じゃ作品にはなりはしない。
主役が子供時代の声の人(子供?)はうまかっただけに、青年になって庵野監督に変わった時はもうがっくりしてしまった。
できれば誰か主役の声を変えたバージョンをyoutubeでこっそり流してくれないかな(笑)。


ところで映画を観に行って驚いたのは、相方ちゃんがまったく映画の内容に関して知識を持ち合わせず、1/3観たところで初めて戦争ものだと知ってショックを受けていたことです。
いや、情報全く得ないなんてことできるんだね。

あと、映画の中の外人さんがみんな目がギラギラグリグリしてて怖い。

風立ちぬ・美しい村 (新潮文庫)
風立ちぬ・美しい村 (新潮文庫)
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プロフィール

霜月りつ@文筆業

Author:霜月りつ@文筆業
白城るた・あるいは 真坂たま、白雪真朱と名乗ってBLやTLやファンタジーを書いてます。最近は霜月りつ名義で時代物も。
主に読書と映画と着物と同人の日々。独断に満ち満ちてマスので、ついてこれる人だけれっつごー。
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