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ちはやふる19巻 漫画におけるアニメーション

もうじき20巻がでるというのにいまさら19巻の感想ですよ。ちょうど忙しいときにかかっちゃったので。
まあ今頃なんてあまり見ている人もいないから、今回は趣味に走った感想になります(笑)。

あいかわらずネタばれありな感想ですので、読んでない人は飛ばしてね。

ちはやふる(19) (BE LOVE KC)
末次 由紀
講談社 (2012-12-13)


今回は吉野会大会準々決勝。
原田先生率いる白波会の四人がそれぞれ競合と戦います。
戦う前に原田先生は教え子たちに言います。

「団体戦みたいだな」

 団体戦にあこがれていた千早はもう嬉しくてしょうがない。
 そして実際戦っているときも、仲間たちの存在が背中を押してくれる。

千早の相手は元クイーン・猪熊遙。
しかしこの遙さんの描き方がホラーっぽいのってどうして(笑)。

thaya19_05.jpg
ホラーっぽい。

そして意外な展開。新が負けた?!

ここで新が勝って太一か千早と勝負かと思ったんですが、末次先生はそんなおいしいシーンを早々と持ってきてはくれませんでした。

代わりになんと千早VS太一!

これは~~~っ!

ひどい。

こんなに後を引く終わりでどうしてくれよう。

さて、今回印象に残ったのは原田先生の言葉ですね。

「私は若くないから 本気で試合をしてくれるなら 愛弟子とだって死ぬ気でとる」
「成長できるかもしれないんだ まだまだ」
「名人と当たるまでに私はまだーーー……」


これは、すべての「老い」を感じた人、いいえ、10代だって20代だって30代だって。
どんな年代の人にでも通じるせりふだと思います。あきらめちゃいけない、あきらめたらそこで終わりだ。
限界を決めてしまうのは自分自身。
こうやってまだ成長してやる、成長できる、と考えることこそが強さであり、若さなのだと思います。

さて、ここからは趣味に走った感想。
実は今巻読んで思ったのはじつにアニメーション的な演出がされているなあと思ったんです。
アニメ2期も絶好調な今、末次先生がアニメを意識しないはずはないのです。そして映像ということにおいて、マンガはものすごく自由、思った通りに描ければ、マンガの原稿、本のなかでアニメーションを見せることも可能、というのを見せてくれました。

どういうことかというと、まずは27頁。

thaya19_01.jpg

どうですか、この頁を見て「音」が響いてきませんか?

アニメにおいて「音」の演出は非常に大切です。しかしマンガでは「音」を出すことができません。しかしこの頁では、読手さんの声の響き、その「音」に聞き入る二人、そして会場の人間、その空間がが見事に表されています。

マンガにおいてこうした「音」の響きを表現したものは、私が今思い出せるのは萩尾望都先生の「海のアリア」3巻の、アリアドがアデルを演奏したシーンしか思い出せません。

thaya19_100.jpg

これはその演奏の最初の一コマですが、あなたはどんな「音」が聞こえたでしょうか?
もちろん漫画はコマのつながりで見せるわけですから1コマだけでは無理かもしれません。

末次先生も萩尾先生も、そして私たちも、その「音」のイメージを浮かべることはできます。でもそれを絵に表すことができる、イメージを私たちに伝えることができる、それが漫画家なのです。

もう一つ、今度は視覚を使ったアニメーションです。
68頁のこのシーン。

thaya19_02.jpg

太一の顔が2つ描いてあります。
右はヒョロくんを見ている顔、左はそんなヒョロに笑った顔。

何の変哲もない、と思われたかもしれませんが、この2つのコマで、私たちの脳は太一の顔が笑顔に変化したことを無意識にとらえます。
日本のマンガを読みなれている人は、子供のころからの訓練で、自然にマンガを右から左に読みます。そのために、頭の中でこうした「自動アニメーション」を頻繁に行っているのです。
しかもこの笑顔の動きはアニメの演出家さんが行うんじゃなくて、私たちの脳が最善の演出をしてくれるわけです。
気をつけてみてみると、実はこんなコマは多くはありません。
末次先生はここで太一の笑顔を見せたいからこそ、この演出を行ったわけです。

そして3つ目、これが一番アニメーション的なのですが、太一と千早の試合のシーン、155P~157P。

まず155Pで紅葉がざわつき、

thaya19_06.jpg

156・157Pで一気に風が、紅葉が千早に向かって吹き付けます。呼吸ができないほどの風です。

thaya19_04.jpg

ここは非常にアニメーションぽい演出です。
しかし、アニメーションと違うのは、この風が、紅葉が、千早たちだけでなく、私たちをも取りかこんだところです。
読んでいるときに感じたはずです、その風と紅葉の色を。

こういうのを臨場感と言うのでしょうか。

残念ながら今のアニメスタッフにはここまでの力がありません。3Dアニメにでもすれば感じることができるのでしょうが、どうも2期になって少し勢いが落ちてきたような気がします。
1期にあった、息を止めるような演出がまだ出てきていないような。
(5話すぎたあたりから勢いがついてきました!4/21日追記)

もちろんアニメでもこうした臨場感を味あうことはできます。今思い出したのは映画「AKIRA」の冒頭のバイクシーンです。
金田やヤマガタたちのバイクの美しいテールランプが流れていくあのシーンでは、確かに私は健康優良不良少年たちのチームでした。



マンガという紙とペン、最近ではデジタルで描かれもしますが、あくまで二次元のものがこんなにも立体感をもって迫ってくる、その自由さ、その可能性の広さ。
これが私たちがマンガに惹かれてやまない原因の一部なのかもしれません。

画像引用
ちはやふる 末次由紀(講談社)/海のアリア 萩尾望都(角川書店)/AKIRA 大友克洋(東宝)


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プロフィール

霜月りつ@文筆業

Author:霜月りつ@文筆業
白城るた・あるいは 真坂たま、白雪真朱と名乗ってBLやTLやファンタジーを書いてます。最近は霜月りつ名義で時代物も。
主に読書と映画と着物と同人の日々。独断に満ち満ちてマスので、ついてこれる人だけれっつごー。
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