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父の葬儀

12月2日の12時過ぎに実家から「お父さん死んじゃった」と連絡を受けました。
どうにも真実味がなく、何度も何度も確認しました。
すぐに電車に乗って駆けつけましたが、長く入院していたこともあり、覚悟はあって案外と冷静でした。
電車に乗って帰るのは久しぶり。富山駅は改装中で、ホームから出口までずいぶん長い長い距離です。
妹とその息子が迎えにきてくれました。

自宅へ戻ると座敷に父が横になっていました。
穏やかなきれいな顔で、すぐに起きてきそうでした。寝息まで聞こえる気がします。

やっぱり実感がわきません。

富山に到着するまでの4時間で、いろんな準備が済んでいました。
親戚への連絡も、明日の通夜や葬式のためのセレモニー会館との打ち合わせなど。やることはいっぱいです。
通夜や葬式のための会場での受け付けの帳面、香典の帳面など一式がとどけられて、セレモニーを間違いなく進めるためのマニュアルもありました。

母親は足腰が弱っているので、私が喪主をすることになりました。

しかし喪主は挨拶だけを頑張ればいいんです。
大変なのは裏方にまわった妹や甥や姪です。準備もお金関係のことも配膳や連絡もすべてやってくれました。
私はいつものようにぼんやりしていればいいようです。

それにしても葬儀というのは大変で、これが小さな子供や、いきなりの死だと、遺族は可哀相です。うちひしがれているひまもないくらいでしょう。

やはり葬式は老人に限ります。

老人の葬儀は忙しいけれど誰もが穏やかで笑い声もあがるくらいです。



翌日3日、納棺師の方がいらっしゃいました。
家族は「送り人がきた」「送り人だ」とそわそわしてます。
映画「送り人」の原作の方は実は富山出身です。

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送り人さんは2人できてて、座敷で湯灌をします。簡易バスタブをもちこみ、お湯で父の身体を清めました。
最後の方は熱が続きお風呂に入れなかった父は喜んでいたかもしれません。
身体を丁寧に洗ったあと、しばらく襖は閉められて、やがてもう一度呼ばれたときには、父親の顔は先程みたときよりさらにきれいになっていました。
すごい、これが送り人の技なんだ~、とみんなで感心。

その後納棺され、家族と一緒にセレモニー会場へ。

この日は私も妹も母親も洋装です。
喪主は通夜にも挨拶をするので、アンチョコを作っておきます。
通夜の会場には豪華なお花の祭壇ができてます。

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「無常仏さん」と呼ばれる呼ばれる黒い掛け軸がさがっています。
(無常仏というのは富山県高岡市での呼び方で、本来は「来迎仏」とかいうようです。この掛け軸はお寺で貸してくれます)

浄土宗では初七日までこの掛け軸を床の間に飾ります。その後は「南無阿弥陀仏」の掛け軸になるそうです(この掛け軸は各家庭で用意します)。

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父はセレモニー会場の座敷で布団に寝ていました。このセレモニー会場独特のサービスで、寝ている父の布団の上から真綿で羽織袴をつけていきます。旅立ちの支度です。綿を伸ばしたりしわをつけたりして、襟や袴、羽織紐、羽織、そしてぞうりや足袋まで真綿で作ってあります。
女性の場合は打ち掛けになるそうです。すごいな。
父は立派な死装束に変わりました。このあと通夜会場に運びます。
(そういえば△の額あてはつけませんでした)

通夜には親戚と近所の人や仕事関係の人がぱらぱらと来ていました。
お坊さんのお経が終わったら喪主の挨拶です。ここの挨拶は短いものでお礼くらいですね。
次に部屋を移動して会食、会食のはじめと終わりにもまた喪主の挨拶があります。

この日は私と母親はセレモニー会場に泊まります。

翌朝4日、着付けの人と美容師さんが来て、私と母親と妹を飾りつけてくれました。プロの着付けはすごいですね。ぎゅうぎゅうに締めたのにきつくありません。
この喪服もセレモニー会場のレンタルです。ぞうりもあればバッグもある。自宅から持っていったのは肌襦袢と腰ひも、帯板だけです。

葬式の日は一般の人がたくさん来てくれました。通夜のときはパラパラだったので寂しかったのですが、この日は用意した椅子が足りなくなるほどでした。
父親は日本画を趣味としていて、いままでに知事賞や大臣賞などいろいろもらっていました。それらの絵の中から小さめなものを3枚、スケッチブックや小作品を展示しました。こういうふうに見せられるものがあるのはいいですね。クリエイターは作品をみてもらうのが最大の幸せですから、父も嬉しいでしょう。
小作品は希望の方にお持ち帰り願いました。

さて、お坊さんのお経が終わったら喪主最大の見せ場の挨拶です。

この挨拶はお礼とか父の話とかおりこんでいきます。仮にも文筆業ですからね、泣かせる文章書きますよって私が読みながら泣きそうです。
あとからみなさんにいい挨拶だったと言ってもらえました。

柩に花を入れます。納棺師さんのおかげできれいになった父の顔はみなさんに褒められました。
さてこのあとは焼き場に移動です。小雨だった天気ですが、父の人徳か太陽がでてきました。
お坊さんのお経の中、釜にいれられます。

さて、再びセレモニー会場に戻って会食です。
通夜のときは自由だった席順ですが、葬式の時の会食は座席の順がいろいろと問題があるようです。
そのへんの面倒くさいところも妹がやってくれましたが、当日急にこられなくなった人、急にきた人とかいて、昨日会ってたのに一人抜けてて青くなったらしいです。
会食の前と終わりにも喪主の挨拶です。

会食が終わるころ父が焼き場から戻ってきました。
親戚一同で骨あげをします。
高温で焼かれた骨はかさかさと軽く、真っ白です。かしゃんかしゃんと骨は折れていきます。
メレンゲのお菓子のようです。

最後のお経をあげて、これで葬儀は終了です。
私たちは喪服を着替え、父の骨を抱いて家へ戻りました。

今回体験した葬儀では、葬式のシステムというのはセレモニー会場にまかせておくと楽だなあということ。すべてのスタッフが優しく親切で、いたれりつくせり、スムーズにすすみます。
世界で一番優しい職業ではないかと思いました。
決してでしゃばらず控えめで、しかし進めるところは進めてくれます。ありがたいサービスです。

さて、このあとは父の口座をしめたり年金の手続きをしたり生命保険の手続きをしたりとまだまだやることはいっぱいです。
また翌日から仏具屋さんや石材屋さんや仕出し屋さん、法要の会食の準備はお済みですかと料亭などがひきもきらずやってきます。
みなさん大変ですね。
しかしこういう営業の人たちに穏やかに対応できるのも死んだのが老人だからですね。子供を失った親のところには誰も行きたくないですよね。

初七日当日になるとお骨の前にお膳を出します。
おままごことみたいでかわいいですね。

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手前左から ご飯 味噌汁(またはお吸い物)
真ん中 おつけもの
奥左 煮物 煮つけ(またはゴマあえ)

お坊さんは7日ごとにお経をあげにきてくれます。
四十九日になって成仏したあとは白木の位牌が黒塗りの位牌に変わります。

四十九日のあいだは父はまだこの世とあの世の間をふらふらしているそうです。

夢にでもでてきてくれて、また絵の話とかしたいなと思っています。





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霜月りつ@文筆業

Author:霜月りつ@文筆業
白城るた・あるいは 真坂たま、白雪真朱と名乗ってBLやTLやファンタジーを書いてます。最近は霜月りつ名義で時代物も。
主に読書と映画と着物と同人の日々。独断に満ち満ちてマスので、ついてこれる人だけれっつごー。
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